第九巻 たった一言で【1〜9部】

第九巻 たった一言で「だいじょうび」発刊のご挨拶


「あなたの心に響いた『たった一言』を教えてください」そして、「それにまつわるエピソードを教えてください」そんな呼びかけによる「たった一言で」コンテストも、今回で9回目。おかげさまで、2983編ものご応募をいただきました。そして入選作品240編の中から、さらに50編を選び、本書を出版することができました。
 たった一言で元気づけられ、たった一言で明日への力が出てくる。回を重ねるごとに、言葉の「重み」を感じさせられます。
 さて、「プチ紳士・淑女を探せ!」運動では月刊誌「プチ紳士からの手紙」を発行しており、130号を超えました。毎月、編集・制作に追われっぱなしです。そんな中、連載をお願いしている作家さんからの原稿が、締め切りに間に合うだろうかとハラハラし通しです。
 ある年の月末のことです。締め切りよりも、ずいぶん早く原稿が届きました。「ありがたい!」と喜んで読ませていただくと、どうも最後の「締め」の言葉が弱い。でも、作家さんに訂正のお願いをするのは申し訳ない。迷って、迷って、そのあげくに「書き直しをお願いできませんか?」と頼みました。返事があるまでの間、ドキドキでした。「この忙しいのに」「私はいいと思うけど」と怒られるのではないかと。ところが、です。こんなメールが作家さんから届きました。
「おはようございます。了解しました。検討してみますね。しばしお時間ください」
ほっ、として身体がヘナヘナとなってしまいました。そして、短い文章の中の、ある「一文字」に目が釘付けになりました。返事の中の「検討しますね」の「ね」です。その一文字に救われたのです。ああ、「ね」ってなんて優しい文字なんだろう。普通の文章も「ね」が1つ付くだけで、温かな心が伝わってくる気がします。「ね」という一字も、「プチ紳士・プチ淑女」なのかもしれません。「たった一言」どころか「たった一文字」に心がポカポカになったのです。今回も、珠玉の「たった一言」が集まりました。
 この一冊が心のビタミンになることを祈っています。

【プチ紳士・プチ淑女を探せ!】運動 代表 志賀内 泰弘



掲載作品ちょっといい話で賞

「大丈夫だよ。他に、おいしいものはたくさんあるから」… 山本さん


 私は、赤ちゃんの頃から食物アレルギーを持っています。それで病院でけんさをしてもらいました。すると先生に、
「かわいそうに」
と言われたそうです。その時お母さんは、とってもかなしくなってイヤな感じがしたそうです。それで2つ目の病院へ行きました。その先生は、
「大丈夫だよ。他に、おいしいものはたくさんあるから」
と言ってはげましてくれました。私は2年生になるまでは、ケーキ屋さんのケーキは食べたことがありませんでした。なぜかというと、いろんな物が入っているのでアレルギーを起こすかもしれないからです。毎年、クリスマス、たん生日、おひなさまなどの日などには、お母さんの作ってくれる、ちょうまずいケーキを食べていました。それは、私のために無てん加で作ってくれたのです。でも、ついに小学校2年生になる前に、アレルギーもよくなって、ケーキ屋さんのケーキが食べれるようになりました。
 お母さんとおばあちゃんは、学校の給食のこんだて表を見ながら、給食と合わないように、工夫して作ってくれました。でも一度もかわいそうにとは言われません。イチゴやサクランボなどいろんなフルーツを買ってきてくれてうれしかったです。そのおかげで、アレルギーともさよならが出来ました。
 2つ目の病院の先生の言葉、「大丈夫だよ、他に、おいしいものはいっぱいあるから」。今でも心に残っています。そして、ずっと、今でもかぜを引くと、この病院へ行っています。




掲載作品ホスピタリティ賞

「いつか」… 内野さん


 私は第一志望校の学校に合格できなかった。あの高校の制服を着て、一緒に同じ目標に向かってがんばってきた仲間と過ごす日々を毎日のように想像していた自分のことを憎んだ。「努力は実る」この言葉をどれだけ信じてきたのか。
「努力は実る。なんて嘘だったじゃん」
 ある日、受験生の時一番のライバルであり、一番の心の支えであった親友から電話があった。しばらく思い出話をした後、私は彼に伝えた。
「本当にごめんね。一緒に行こうって約束したのに」
すると、彼はこう返してきた。
「いいんだよ。離れててもがんばろう。努力は必ず実るから」
正直私が一番ききたくない言葉だった。でもその後に彼はこう言い変えた。
「すぐじゃないかもしれない。だけど、努力はいつか必ず実る。今までの努力は絶対に何かにつながっているはずだから・・・」
涙が出て止まらなかった。
「いつか」という言葉が何ヶ月もたった今でも心に響き続けている。私は「いつか」を信じてみようと思った。彼のくれた「いつか」は私の背中を強く押した。次の一歩をふみだすために。「いつか」のための毎日を過ごしてゆこう。




販売価格
770円(内税)
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